吉田町 ミカン畑の斜面崩壊の所見

愛媛大学防災情報研究センター客員教授 高橋治郎先生

   今日(8月1日)、吉田に行ってきました。南予は、30年余り南予用水事業で地表踏査と掘削した隧道内の調査をしてきたところなので素因になる地質や地形、植生のことは理解していたのですが、今回の災害になってしまいました。風化土壌の薄い所にみかんを植えていますから、チョット雨が降らないと葉が巻いたり実が落ちたりしていました。

急峻な地形、とにかく保水力の小さい土壌ですから農業用水を引っ張ってきてスプリンクラーで散水をしていたような場所です。保水力の小さい土壌ですから大雨のため滑り落ちたと思います。

ですから、みかん畑の山頂からや谷、それらの場所はそれほど水が集まってくるはずもないところが滑り落ちています。ただ、岩盤と表土層の間に雨水が浸入、ソイルパイプが見られることに加えて、大雨により土壌は大量の水を含み重くなり、夏のプールで子供達が滑り落ちているような(ウオータースライダー)現象が推定されることと、農道による安定していた斜面が切り取られることによるバランスが崩れ、滑りが推察されます。

奥の高い山々は滑っていません。海岸近くのみかん山などが滑り落ち、下の民家を押し潰しています。こうした危険な場所に住んではならないんだなあと思いつつ自然の摂理に反して行動を起こす。当たり前、しかし、何時か跳ね返って来ます。



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